資料室


3.3 PFCE(Plastic Formed Carbon Electrode)

炭素系の電極素材としては、GC(グラッシーカーボン)とHOPG(高配向熱分解黒鉛)とが良く知られています。
樹脂を焼成炭素化することにより得られるGCは、電解液の浸透はありませんが出発原料種や焼成温度により電極特性が大きく異なるため1)(図1:イミド樹脂の処理温度とCV曲線比較、図2:塩化ビニル樹脂の処理温度とCV曲線比較 イミド樹脂のCV曲線)、測定に用いる場合は出発原料種や焼成温度の明確な物を使用しないと良い再現性が得られません。

一方HOPGでは、edge plane は優れた電極特性を示しますがbasal plane では良好な電極特性を得ることができません( 図3:HOPGのedge plane とbasal plane のCV曲線比較)、しかも層間に電解液が浸透してしまうため再現性のある測定が困難でした。そのためカーボンペースト電極のように、HOPGなみに電極特性の優れた黒鉛粉末とペースト素材との混合体が使用されています。
しかしカーボンペーストは、電極の反応サイトに電極特性の良い黒鉛のedge plane と電極特性の悪いbasal plane とで混在しているため、HOPGのedge plane のように良好な電極特性のみを得ることができない上、ペースト素材の種類により使用溶液が限定されます。

gc1-1.gif
図1:イミド樹脂の処理温度とCV曲線比較

gc1-2.gif
図2:塩化ビニル樹脂の処理温度とCV曲線

このように、従来の炭素系の電極素材では優れた電極特性を得ることができませんでした。そこで三菱鉛筆?と工業技術院電子技術総合研究所との共同研究により、電極特性が優れ、電解液の浸透がない、全て炭素のみからなる電気化学計測用の炭素材PFCEを開発しました。

PFCEは、PFC製法に基づき製作した炭素材であり、黒鉛粉体を高配向させることで電極特性の良いedge planeを一方向に揃え電極面に露出させるとともに、GCと複合体化することで電解液が浸透しないように制御して作製した炭素材です。
つまりPFCEは、電極の反応サイトであるdisk plane に黒鉛のedge plane が高度に配向露出するとともに、黒鉛と黒鉛の粒子の間をGCが均一に被覆している電気化学計測用の炭素材です。そのため、HOPGのedge plane のように良好な電極特性2を得ることができるうえに( 図4:PFCEのcylinder plane とdisk plane のCV曲線比較)、G C と同様に強酸中で使用しても電解液の浸透がみられません3。PFCEは、広範囲な電極特性・形状を任意に設計できます。

∗グラッシーカーボン は東海カーボン株式会社の登録商標です。

line
トップページ EC Guide  EC Guide/3.0PFCE電極