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超高感度くし形電極
従来のくし形電極のくし間隔は「5 µm」のもの1種類だけでしたが、白金、金電極について、新たにくし間隔「2 µm」、「3 µm」の電極を開発致しました。
◆金素材
くし幅2 µmおよび3 µm のAuくし形電極はより高度な微細化を実現したため、レドックスサイクル数が急激に増加することが確認され、それゆえ更なる高感度測定が有効になります。
◆白金素材
くし幅2 µmおよび3 µm のPtくし形電極も同様に感度が向上しますが、白金電極の特性上、サンプル溶液中の溶存酸素の影響を受けてしまいます。白金素材のくし形電極で測定をする際は、必ず脱気処理したサンプルをお使いください。
超高感度くし形電極(3 µmと2 µm)の写真はFig.1です。それぞれくし形作用電極、参照電極とカウンター電極が示されています(Fig.1右側の写真)。また参照電極電位を一定にするために銀塩化銀インクの塗布をお勧めします(Fig.1左側の写真)。
Fig.1 銀塩化銀インクを塗布した参照電極部(左)と、2 µm Ptくし形電極の写真(右)
- 使用方法
- 測定例
- ラインナップ
- 関連ページ
- 参考書籍
微量サンプルを測定する場合、くし形電極をケーブルキットにセットアップして、くし形作用電極、参照電極とカウンター電極が全部浸るようにサンプル溶液を乗せます(Fig.3)。
ケーブルキットをデュアル電気化学アナライザー(802シリーズや700シリーズ)に繋げば簡単に測定が行えます。
Fig.2 ケーブルキットに設定した3 µmくし形電極
Fig.3 サンプル溶液部分の拡大
例として、0.5M NaCl溶液中1 mMフェロセンメタノールサンプルを測定する場合の、3 µm Auくし形の電極1と電極2のそれぞれシングルモードで測定したCVをFig.4に示します。電極1と2がほぼ同様なCVを示しており、両方のくし形電極が高精度に作られていることがわかります。
Fig.4 3 µm Auくし形電極1,2のそれぞれシングルモードのCV測定。掃引速度30 mV/s。
Fig.5 3 µm Auくし形電極デュアルモードのCV測定。
G電極掃引速度10 mV/s. C電極印加電位-0.2 V.
デュアルモードでの測定はC電極(Collection electrodes)に還元電位印加することで、G電極(Generator electrodes)上フェロセンメタノールのレドックス現象が発生し、電流が大幅に増大し、CV形状が変化します。赤い曲線はG電極、青い曲線はC電極のCV曲線で、定常電流が観察されます。
また、電極間隔が3 µmになったため、レドックスサイクル数が更に増加し、検出電流が大きくなり、フェロセンメタノールのCVデュアルモードの限界電流とシングルモードのピーク電流に比べ約8倍になっています(Fig.6)。
5 µm くし形電極の場合は約4倍ですので(Fig.7)、3 µm くし形電極はより高感度な測定が可能であることがわかります。
Fig.6 3 µm Au くし形電極でデュアルモードとシングルモードCV測定の比較。
掃引速度10mV/s。
Fig.7 5 µm Au くし形電極でデュアルモードとシングルモードCV測定の比較。
掃引速度10 mV/s。
(注:5 µm くし形電極の面積が大きいため、絶対電流値が大きく見えます)
3 µm くし形電極のLSV(リニアースィープボルタンメトリー)のデュアルモードの測定データをFig.8に示します。C電極の限界電流とG電極の限界電流によって、捕捉率が96.4%と計算されました。
Fig.8 3 µm Auくし形電極のデュアルモードの0.5M NaCl溶液中
1mMフェロセンメタノールサンプルのLSV測定。
掃引速度10 mv/s.
CV、LSVの電気化学 テクニック以外に、くし形電極はいろいろな電気化学 測定テクニック、例えばクロノアンペロメトリー、ノーマルパルス、微分パルボルタンメトリーなどに適用でき、より多く情報が得られます。くし形電極の研究活用で、より一層興味深い知見を得ることが期待できます。
商品コード | 品名 | くし幅(µm) | くし間隔(µm) | くし長さ(mm) | 対本数 |
012129 | くし形電極 Au 3µm | 3 | 3 | 2 | 65 |
012260 | くし形電極 Au 3µm (絶縁膜無し) | 3 | 3 | 2.5 | 65 |
012257 | くし形電極 Au 2µm | 2 | 2 | 2 | 65 |
012261 | くし形電極 Au 2µm (絶縁膜無し) | 2 | 2 | 2.5 | 65 |
012130 | くし形電極 Pt 3µm | 3 | 3 | 2 | 65 |
012263 | くし形電極 Pt 3µm (絶縁膜無し) | 3 | 3 | 2.5 | 65 |
012258 | くし形電極 Pt 2µm | 2 | 2 | 2 | 65 |
012264 | くし形電極 Pt 2µm (絶縁膜無し) | 2 | 2 | 2.5 | 65 |
通常タイプ | |||||
012125 | くし形電極 Au 10µm | 10 | 5 | 2 | 65 |
012259 | くし形電極 Au 10µm (絶縁膜無し) | 10 | 5 | 2.5 | 65 |
012126 | くし形電極 Pt 10µm | 10 | 5 | 2 | 65 |
012262 | くし形電極 Pt 10µm (絶縁膜無し) | 10 | 5 | 2.5 | 65 |
012127 | 【販売終了】くし形電極 C 10µm | 10 | 5 | 2 | 65 |
012266 | くし形電極 C 10µm (絶縁膜無し) | 10 | 5 | 2.5 | 65 |
012128 | くし形電極 ITO 10µm | 10 | 5 | 2 | 65 |
012265 | くし形電極 ITO 10µm (絶縁膜無し) | 10 | 5 | 2.5 | 65 |
オプション | |||||
011066 | くし形電極ケーブルキット | ||||
011464 | 参照電極用銀塩化銀インク(2.0mL) |
※くし形電極は主に水系サンプルでご使用いただく電極です。有機溶媒では絶縁膜や電極が剥離することもあるのでご注意下さい。(詳細はお問合せ下さい。)
2 µm、3 µm Ptくし形電極をご使用の際の注意点
白金電極の特性上、サンプル溶液中の溶存酸素の影響を受けてしまいます。超高感度Ptくし形電極で測定をする際は必ず脱気処理したサンプルをお使いください。
- 「微小電極を用いる電気化学 測定法」 社団法人電子情報通信学会
電極を微小化することによって思わぬ長所が電気化学 計測の分野で見いだされている。本書は電気化学 測定に縁遠い人にもわかるよう、その基礎から応用まで紹介する。
微小電極 電気化学の基礎/微小電極の作製法/測定法の基礎/高分子化学への応用/光 電気化学への応用/バイオケミストリーへの応用/フロー分析への応用/極限状態での測定
(社団法人電子情報通信学会の書籍紹介ページより引用)