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ALS1100D パワー 電気化学 アナライザー
ALS1100Dシリーズ パワー 電気化学 アナライザーは、バッテリー、電気メッキ、無電解メッキ、腐食・防食の研究、電解合成電気分解などのような大きな電流を必要とする用途に開発しました。機器の構成はデジタル関数発生器、データサンプリングシステム、電流信号のフィルター、iR補償機能、ポテンショスタット、ガルバノスタット(ALS1140D)です。
ALS1100Dシリーズはコンパクトで、ALS600Fシリーズの構成に比べて価格的に安価です。
- 特長
- 仕様
- テクニック一覧
- 測定例1
- 測定例2
- 応用例1
- 応用例2
高出力ポテンショスタット/ガルバノスタット
- 大電流での測定が可能
- バッテリー、腐食、電気分解、めっきなどの研究に
- 金属不動態、孔食、粒界腐食(EPR)、大電流充放電実験
- 1µVから5,000 V/secまでのスキャン速度選択可能
- ガルバノスタット搭載モデル(ALS1140D)も選択可
- 電位範囲:±10 V
- 電流範囲:±2 A
- 出力電圧:±25 V
- iR補償は自動、マニュアルを選択可能
パラメータ | モデル1100Dシリーズ |
ポテンシャル範囲 | ±10 V |
電流範囲 | ±2 A |
出力電圧 | ±25 V |
感度範囲 | ±10 pA ~ ±2 A(12レンジ) |
入力インピーダンス | 1×1012 Ω |
最小電位分解能 | 100 µV |
最大サンプリング速度 | 16bit @ 1 MHz |
バックグラウンド電流 | < 50 pA |
電流分解能 | 1 pA |
スキャン速度 CV | 1×10-6 ~ 5,000(V/sec) |
パルス幅 CA, CC | 0.001 ~ 1,000 sec |
パルス幅 DPV, NPV | 0.001 ~ 10 sec |
周波数 SWV | 1 ~ 100 kHz |
iR補償機能 | ◯ |
対応OS | WindowsTM 10※ / 11 |
インターフェース | USB 2.0 |
大きさ(W×D×H) | 365 × 235 × 125 mm |
重さ | 4.9 kg |
※Windows™ 10 Sモードには対応しておりません。Sモードの場合は、解除を行ってください。
また、対応するのはマイクロソフト社がサポート中のバージョンのみです。
テクニック | 1100D | 1110D | 1120D | 1130D | 1140D |
CV | ● | ● | ● | ● | ● |
LSV | ● | ● | ● | ● | ● |
SCV | ● | ● | |||
TAFEL | ● | ● | |||
CA | ● | ● | ● | ● | |
CC | ● | ● | ● | ● | |
DPV | ● | ● | ● | ● | |
NPV | ● | ● | ● | ● | |
SWV | ● | ● | ● | ||
ACV | ● | ● | |||
i-t | ● | ● | |||
SHACV | ● | ● | |||
DPA | ● | ||||
DDPA | ● | ||||
TPA | ● | ||||
BE | ● | ● | ● | ● | |
HDV | |||||
IMP | |||||
IMPT | |||||
IMPE | |||||
CP | ● | ||||
CPCR | ● | ||||
PSA | ● | ||||
OCPT | ● | ● | ● | ● | ● |
SSF | ● | ||||
STEP | ● | ||||
ISTEP | ● | ||||
RDE | ● | ||||
Lmt CV Sim | ● | ● | ● | ||
Full CV Sim | ● | ● |
テクニック略称一覧
- CV: サイクリックボルタンメトリー
- LSV: リニアースイープボルタンメトリー
- SCV: 階段状ボルタンメトリー
- TAFEL: ターフェルプロット
- CA: クロノアンペロメトリー
- CC: クロノクーロメトリー
- DPV: 微分パルスボルタンメトリー
- NPV: ノーマルパルスボルタンメトリー
- SWV: 矩形波ボルタンメトリー
- ACV: 交流ボルタンメトリー
- i-t: アンペロメトリー
- SHACV: 第二高調波ボルタンメトリー
- DPA: 微分パルスアンペロメトリー
- DDPA: ダブル微分パルスアンペロメトリー
- TPA: トリプルパルスアンペロメトリー
- IPAD: 積分パルスアンペロメトリー検出
- BE: バルク電気分解/クーロメトリー
- HDV: ハイドロダイナミックボルタンメトリー
- IMP: 交流インピーダンス
- IMPT: インピーダンス/タイム
- IMPE: インピーダンス/ポテンシャル
- CP: クロノポテンショメトリー
- CPCR: クロノポテンショメトリー/タイム
- PSA: ポテンショメトリックストリッピング分析
- OCPT: Open Circuit Potential-Time
- SSF: スイープステップファンクション
- STEP: マルチポテンシャルステップ
- ISTEP: マルチ電流ステップ
- RDE: RDEコントロール
- Lmt CV Sim: CVシミュレーション(機能限定版)
- Full CV Sim: CVシミュレーション
CVS測定
CVSは繰返しサイクリックボルタンメトリーストリッピング法です。電位スキャン時に電極
にメッキする金属が析出、剥離が起こり、その量比の変化を調べる方法です。CVSテクニック
は回転ディスク電極を用いることにより、電極表面に新鮮なメッキ液を供給し、電極に直接
金属をメッキさせ、その剥離量からメッキの状態を調べることができます。剥離量はARまた
は面積、回転速度に依存します。
上図は硫酸銅溶液をCVSにより測定したボルタモグラムです。メッキ液中の光沢剤、抑制剤
を添加することにより、クーロン量は、作用電極に析出した銅の量に比列します。
ターフェル測定
分極曲線については、十分に遅い走査速度で測定される分極曲線、または定電位で電流が
一定になるまで分極したとき得られる分極曲線だと考えてください。
金属不動態、孔食測定
アノード方向へ電位走査し、孔食によるアノード電流が一定値を超える電位を孔食電位として、
その電位が貴であるほど耐食性が大きいと判定する方法があります。
腐食添加剤の管理方法の応用
電子産業界では、プリント配線、リードフレーム、磁気ディスク、磁気へッド、薄膜抵抗体など電子部品へ利用され、金属膜に機能的な性質をまとめたメッキ技術が利用されています。代表的な電気メッキと最近急激に成長した無電解メッキがあります。
そのメッキの目的に応じて種々の添加剤が加えられていますが、これらの添加量の制御も重要です。この添加剤中での腐食添加剤の管理方法のひとつをご紹介します。最初に濃度が異なる添加剤を含む溶液を用意して電気化学のリニアスイープボルタンメトリーを用いて測定し、このピーク電流値は添加剤の濃度に依存することから、このピーク電流値と添加剤の濃度と相関性の検量線を取って腐食添加剤の管理ができます。
添加剤の濃度:2%, 4%, 5%, 6%, 7%, 8%など溶液のリニアスイープボルタモグラム