1.3.2 ノーマルパルスボルタンメトリー(NPV)
パルステクニックのポテンシャル波形は図12 に示します。これはパルス間での初期値に戻る電位と振幅が増加する一連のパルスから構成されます。もし初期電位が酸化還元電位より十分正であるなら(酸化体の還元反応を考えた場合)、小さい振幅パルスの印加ではファラデー反応を起せず、電流応答がありません。パルスポテンシャルが酸化還元電位付近にくるくらい、パルス振幅が十分に大きい時、パルスに対応したファラデー 反応(適度に速い電子移動速度を仮定して)が起きます。そしてこのファラデー電流の大きさは拡散速度と電子移動速度の両方に依存します。
パルスポテンシャルが酸化還元電位より十分負になり電子移動が速く起こるとき、ファラデー電流は拡散速度だけに依存するようになります。 即ち、限界電流に達します。
この電流応答を図13 示します。シグモイド波形は古典的なポーラログラフィー実験で得られる波形曲線に類似しています。この方法に対してノーマルパルス法と呼ぶのはそのためです(HPLCの順相、逆相、ノーマルフェーズ、リバーストフェーズに似て、歴史的に古い方をノーマルと呼ぶ)。NPV の限界電流はSCV より大きく、より高感度なテクニック(30 µ A/mM)であり、低い検出下限(10-6 M)が得られます。
図12.NPV / Pのポテンシャル波形
図13.NPV / Pの典型的な電流応答