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1-5 電流応答

電気化学 測定テクニックの1つ、クロノクーロメトリーにおいて、ポテンシャルステップ応答は式(1)に示すOまたはRの電解による電流です。電流はOの還元に対しては次の式(3)に示すように電極表面におけるC-dプロフィルの勾配に比例します。

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式(3)


ここで i は電流(A)、n は反応電子数(eq/mol)、F はファラデー定数(96,485C/eq),A は電極面積(cm2),COはOの濃度(mol/cm3) 、DOはOの拡散係数 (cm2/s), tは時間(s)です。

式(3)を使えば、電解される成分のx=0(電極表面)におけるC-d プロフィルの勾配から電流ー時間応答の形を予測できます。

クロノアンペロメトリーは電流の時間変化測定です。クロノアンペログラムはポテンシャルステップに対する電流-時間応答です。ダブルポテンシャルステップに対するクロノアンペログラムを図1-1Bに示します。
電位をEiからESへステップ変化した時、直ちに大きなカソード電流が流れ、ゆっくり減衰します。この応答を、図1-2Aの O に対するC-d プロフィルの勾配とどのように対応するか考えてみて下さい。

電位をEfに戻すと直ちに大きなアノード電流が流れ、ゆっくり減衰します。この応答も図 1-2DのR に対するC-dプロフィルの勾配と対応づけてみて下さい。電流はある成分が電極表面で電解される速度の目安です。上述の実験では、電解は電極表面へOまたはR(それぞれフォワードステップまたはリバースステップの時)が到着する速度、つまり拡散による物質移動によって支配されます。ポテンシャルステップ後のi-t曲線の減衰は、電極近傍における濃度の減少につれてO(またはR ) の到着速度も減少することを反映しています。言葉を換えれば、O(またはR) は実験の進行につれて電極に達するのにより長い距離を時間をかけて移動しなければなりません。次のコットレル(Cottrell)式はクロノアンペロメトリーの電流-時間曲線を表わします。電流はt-1/2の関数として減少することに注意して下さい。

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式(4)


目次:クロノクーロメトリー(電気化学 測定テクニック)

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