1-7 サイクリックボルタンメトリーによるEiとEsの選択
図1-3 可逆系のサイクリックボルタモグラム(EO=0V,n =1)
EiとEsをどのように選ぶかはクロノクーロメトリーの実験で重要な点です。EO,ROの特定されていない酸化還元系ではやや難しい場合もあります。この場合、事前にサイクリックボルタンメトリーの測定を行うことで、用いた作用電極と支持電解質系で酸化還元対がどの電位域にあるかが求められます。
可逆系の典型的なサイックリックボルタモグラムを図1-3に示します。Oのみが溶液中にあり、EO,ROはゼロボルトとし、1電子過程を考えます。表1からわかるように、Ei=+118 mVからEs=-118 mVにステップした時、表面濃度比CRO/COO は1/100から100/1に変ります。
この変化はOの表面濃度を事実上零にするのに十分であり、式(5)(1-6電荷応答のページ)が成り立ちます。濃度比が十分変化してOの表面濃度が確かに"事実上零"であるためには、可能ならばもっと大きな電位変化を与えて下さい。例えば、+177 mVから-177 mVへの変化は1/1000から1000/1 への濃度比の変化を与えます。