1-9 A, D, n, C の測定
式(5)からわかるように、Q/t1/2からA, D, n, Cが計算できます。クロノクーロメトリーは D, n, C の既知な系、例えばフェリーフェロシアン系を用いて電極表面積を求める標準的な方法です。このように表面積を求めておけば拡散係数がクロノクーロメトリーから測定できます。この場合、n と C は既知でなければなりません。nの値は通常、薄層クーロメトリー、サイクリックボルタンメトリーのピーク間電位差、ポーラログラフィーのE vs. logi/(id-i)プロットや回転電極法から求められます。Dの妥当な値を仮定してQ/t1/2から求める方法もあります。
ポテンシャルステップ法が定量分析に通常用いられる電気化学 分析法の重要な部分であることは確かですが(例えば、パルスボルタンメトリー)、クロノクーロメトリーが濃度Cを求めるのに使われることは比較的まれであったと言えます。数少ない例の1つとして、ストリッピングボルタンメトリーが有用なものとして挙げられます。特にストリッピングピークが単一ではなく複数重なる場合に、それらすべてを含むようなポテンシャルステップの設定と電流積分により、より正確な定量分析が可能となります。