3-0-2 CV(サイクリックボルタンメトリー)測定
電気化学 測定法の1つ、リニアースイープボルタンメトリー(LSV)は、初期電位から最終電位の間を一定のスキャン速度で電流応答をサンプリングする測定法です。
対してサイクリックボルタンメトリー(CV)は、LSVで最終電位に到着した後、スキャン方向が逆転して初期電位に向かって再度スキャンし、必要に応じてそれを繰り返す測定法です。前方向スキャンで生成された電気化学 反応物質が、逆方向のスキャンで調べられるため、CV測定は広く利用されています。
CVの電位印加と電流応答
図3-1.典型的な可逆系ボルタモグラム
David K.Gosser,Jr.,Cyclic Voltammetry Reaction
Mechanisms,VCH Publishers,Inc1994.
左上のグラフの様な三角波の電位をポテンショスタットから電気化学セルに印加すると
右上のグラフの様な電流応答が得られます。
CV波形で分かること
CV波形により物質に関する次のことが分かります。
- 酸化・還元種の安定性
- 酸化・還元種の吸着の有無
- 反応速度定数
- 反応機構
- 電気化学的に可逆あるいは不可逆
- 標準酸化還元電位 E0=(Epa + Epc)/2
- 電子移動数 (△Ep=Epa-Epc=58/n)
n:分子当たりの電子移動数