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主に電気化学の初心者を対象とした、電気化学測定に使用する作用電極の種類とその用途、選択方法についての基礎的な内容です。
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これから電気化学を始める方のための作用電極の基礎-その2:金、白金などの金属電極-1
電極には分極性電極と非分極性電極がある。分極性電極とは電流を流さずに電位を変えることのできる電極である。作用電極または対極として使用するのがこの電極である。非分極性電極は電位を変えようとすると電流が流れてしまう電極で、通常、参照電極として使っているものである。
分極性電極を等価回路であらわすと容量(コンデンサー)になる(図1の1))。現実的には微小電流が流れるのでこの容量に並列に高抵抗(Rhi)をつないだものである(図1の2))。酸化還元系が共存し、適当な電位で電流が流れるような状態は上の回路に並列に電位に依存して変化する抵抗(ファラディー抵抗)が入る。更に、酸化還元種の拡散の結果あらわれるワールブルクインピーダンス(‒W‒)がファラディー抵抗に直列に入る(図1の3))。これらのことを模式的に描いたのが図1である。
酸化還元系が共存しないときに電位を変化させても容量と高抵抗の並列回路の状態が保たれる電位範囲をその電極の電位窓と呼ぶ。この電位窓が広いことが実用上、分極性電極の重要な要件になる。白金、金、炭素電極(ガラス状カーボンなど)がこれにあてはまる。
金、白金などの金属電極
白金は物理的、化学的安定性が大きいので最もよく使われている。水溶液系で使うときは還元方向で水素分子の発生があるので注意が必要である。水素の還元は前段階にプロトンの吸着過程が伴うので注意を要する。酸化領域では電極表面の酸化とこれに対応する還元電流が流れる。
ちなみに上図は古い文献にあるものをそのまま借用したので、電位の右側がマイナス方向であり所謂、クラシック表示と称するものである。金属イオンの還元にポーラログラフが多用された時代を反映する表記である。現在は逆のIUPAC表示が主流。
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