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主に電気化学の初心者を対象とした、電気化学測定に使用する作用電極の種類とその用途、選択方法についての基礎的な内容です。
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これから電気化学を始める方のための作用電極の基礎-その5:炭素電極-2
炭素電極についてはR.L. McCreery(2006年までオハイオ州立大学で行われた研究、現在アルバータ大学。固体電極のパイオニアであるカンサス大学のRalph AdamsのもとでPh.D.を取得)によって広範囲に研究された。彼らによる成果に基づいて何回かに分けて述べる。
現在最も多用されるガラス状カーボン(GC)はミクロにはグラファイトであるが、マクロには名称から想像されるように不定形構造をしている。グラファイトはベンゼンの亀の子が2次元平面に拡がったものが積層したものでありベーサル面とエッジ面型がある。ベーサル面、エッジ面それぞれの応答性の違いを知っているのはGCの理解に役立つ。
酸化還元ピーク電位の差(ΔEP)から算出した電子移動速度に3桁もの差があり、ベーサル面では格段に遅くなることがわかる。
新しいベーサル面を剥離によって出すのであるが、その剥離操作や電極として型に収める際にも応力がかかり、理想的なベーサル面を得るのは難しい。
そのためMcCreeryらはinverted drop cellと称する特殊な方式で測定している(興味のある方は引用文献をご参照ください)。
実線が実測CVで点線などはシュミレーション結果(ここでの話にはあまり関係ないので省く)。電子移動速度定数を小さく、遷移係数に電位依存性を入れると、実測をよく再現することが示される。秩序度をうんと低下したCでは可逆的なCVとなる。ベーサル面の秩序度が低下するほど電子移動速度が速くなる。
純正なベーサル面のバリデーションには1 M KCl中、0.2V/s下のCVにおいて、Fe(CN)6-3/-4のΔEpが700 mV以上となることとしている。
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